片意地へんくつ一本気―下田うなぎ屋風流噺

流行りに乗るのはみっともないという性分なので、なんとかブックチャレンジはパスしましたが、土用の丑の日も近いと言うことで、この1冊をご紹介します。土用の丑の日には店を休んじゃうという、伊豆下田の店主の話。

鰻の話はあんまり出てこなくて、伊豆下田のジジイたちの日常のはなし。商売は楽しいけれど、儲け話と女が大好きで飛びついては損してる。でも鰻屋のプライドはある。ちょこちょこ笑わして最後に泣かせる。山田洋次っぽい世界。

この店「小川家」は実在していて主人公も本人。へんくつはその通りで、遠方からの予約は受けない。その日に下田にいる人だけが予約できる。そんな名店なんだけど、月刊文春の編集者がアポを取ったら例外扱いでOK。なぜかっていうと、この本のモデルで文春に連載してたから。編集者もアポ取ったあとで知ったらしい。鰻の仕上がりまで主人公のオヤジさんの話をたっぷり聞けました。

土用に休む理由も当日地元からの予約もスジが通っていて、来店時間ピッタリに提供したいから、逆算して鰻を捌き、白焼きをじっくりやる。そうするとメレンゲみたいにふわふわに仕上がるんです。食べてびっくり。口に入れた瞬間に形がなくなる。本焼きで串から落ちないかと心配になるけど、それが腕前ってもんでしょうね。

つまり白焼きの行程が重要で、土用に大量に提供しようとしたら、前日まで何日もかけて白焼きを作り、それを冷凍しなきゃいけないから台無しなんだと。そんなもん食わせられねぇ、ってのが「片意地へんくつ一本気」なわけです。

オヤジさんがご存命の間にもう一度行きたいなあ。でもあのときは息子さんがその意思を受け継いで作ってたので、今後もずっと同じ味が守られるでしょう。

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