魔力の胎動

鍼灸師の工藤ナユタは、顧客の治療の場で少女、円華に出会う。円華は知人の脳外科医の娘で、風向きを読むという不思議な力を持っていた。いや、周囲は不思議と感じても、円華にとっては、研ぎ澄まされた物理計算能力を持っているだけのことだった。ナユタの顧客の悩みを、円華は客観的な物理の結果を示して解決していく。それは後に魔女と恐れられる少女の善意だった。

先に発表された「ラブラスの魔女」の前史を描いた物語だ。物理学用語で「ラプラスの悪魔」は、ある時点に起きたすべての物理的な状態を完全に把握し、未来に起きる事象を確定できる」とう力。「ラブラスの魔女」では、「ラプラスの悪魔」を持つ善と悪の戦いを描いていた。その主人公の円華の行動を確定するまでのエピソードが「魔力の胎動」という短編連作だ。

序盤は悪魔的能力を持ちつつ、当事者の心を開いていくという人情的な話だった。とてみ読み心地が良くて円華奇譚として連作、続編を期待したかった。途中から「ラブラスの魔女」のエピソードが絡みミステリー大作へ続くんだけど、「ラブラスの魔女」を読み返したい。どこやったっけ? ラプラスの魔女のその後も読みたい。


次は忍者増田さんがオススメしていた「親父の遺言」です。

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