『さよならテレビ』


映画『さよならテレビ』公式サイト

東海テレビで放送されたドキュメンタリー。自社の報道局にカメラを入れて、テレビマンとは何か、ジャーナリストとは何か、ありのままに描き出す。東海放送で放送され賛否両論の大反響。他の地域では放送されず、業界内で録画ディスクが闇流通したとかしないとか。その熱は冷めず、東海テレビが選んだ方法は「映画化して配給する」だった。ただし大手どころではなく、名画座というか、マニア向け作品を書ける映画館ばかり。私は横浜のミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」で観ました。平日の昼間なのに100人くらい並んでた。他の映画の客層とは違う。なんか業界臭がプンプンする感じ。気になって仕方ない人が来ていた。私もそのひとりでした。

内容紹介はこちらの記事のほうがうまくまとまっている。
さよならテレビ 社内は抵抗、でも撮った報道の「恥部」:朝日新聞デジタル
賛否両論 東海テレビ「さよならテレビ」プロデューサーが語った「さよならの本当の意味」 | 文春オンライン
業界騒然! 東海地方限定番組「さよならテレビ」は何がすごいのか? | 文春オンライン

テレビはこのままでいいのか。報道とはどうあるべきか。ドキュメンタリーだから答えは提示されない。でも、テレビマンたちの素顔が出ていて興味深かった。メディアに書く人として共感した部分も多い。
自分の感想としては、序盤から
「なんだよ、自分たちが撮られる側になったらそんなこと言うのか。いままで撮られた相手の気持ちをわかってなかったんじゃないの?」
「ああ、こいつダメだ。こんな風にいつもニヤけてるヤツはダメだ。どうせ前の職場もクビになったんだろ。ホラやっぱりダメじゃん」
「この人は考えてる。すごく向き合ってる。そして悩んでる。カッコいい。こういう人は大事にしないと」
「働き方改革で、働きたい人、働かなくちゃいけない人が、身動きを取れない。こりゃツラいな」
「あーあ、やっちゃった……」
という感じ。そして、現場の声のいくつかは心にグサグサささった。居住まいを正す気分になった。

私もときどきテレビ局からお声がかかって、娯楽番組もワイドショーもお仕事をいただきます。皆さん真剣だ。あの空気。ひとつのモノを作り上げるんだけど、時間が経てば流れて行ってしまう。しかし失敗だけは残留して消えていかない。たいへんな世界です。仕事の理想と現実を突きつけられます。

「テレビ報道は市民の側に立って、問題を解決するまでが仕事じゃないか」

テレビも厳しいけど新聞も厳しいよね。特に地方紙。ここ2年くらい、ネット配信でバズろうとするだけで、公正さに欠ける記事を見かける。
新聞はムリに数字を取ろうとせずしっかり本分を守ってほしい。真実に向き合った良質な記事を配信すれば評価されるし、数字も付いてくると思うよ。
バズらせて数字を取りに行くのはオレとかネットメディアとかの仕事なのでこっちに降りて来ないでください。

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